巷(ちまた)の学校blog

学校等では教わらなかったことを学び,賢い市民生活(家庭,仕事など)を営むためのブログです。ビジネスにも役立つかも。時には,就職や小論文にも言及。

「実はいいことずくめです」離職率が高い会社で働き続ける古参社員の本音

 以下は,マネーポストWEB 提供の中川淳一郎氏による記事のほぼほぼコピペです。

 離職率が高い企業というものはあるが,そうした企業にも「古参社員」は存在する。激務の一方で給与水準が低い,いわゆる「ブラック企業」と言われる企業でもそれは同様だ。そうした社員たちは,日々,心身が疲弊するような生活をずっと続けているかと思いきや,案外,会社生活に満足しているというケースも多いという。どういうことなのか。これまで多くの会社の人たちと仕事をしてきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏が,「離職率が高い会社で働き続ける人たち」の本音をリポートする。

 具体的企業名を特定するのは避けますが,私のような編集・ライター業をしていると様々な会社と取引することになります。出版社やIT企業をはじめ,広告会社やPR会社など様々ですが,とにかくこれらの業種の人たちは,他の業種と比べてバンバン辞めていく印象です。これらの業務で培った能力が同業種でも他業種でも通用する,というのはあるのかもしれませんが,やたらと「BCCにて失礼します。本来は直接お会いしてお伝えすべきでしたが……」という退職メールがやってきます。

 あとは,「久々に飲みましょうよ!」と言われて飲むと「実は僕,会社辞めちゃいまして(笑)。なんか仕事あったらくださいよ!」なんて言われることもあります。そうした人もいずれはどこかの会社に無事転職しています。

 今回クローズアップしたいのは,こうした離職率のやたらと高い会社に長年いる人々の考え方についてです。以前,失礼ながら40代の課長・Aさんに聞いてしまったんですよ。「Aさんの会社ってバンバン人辞めるけど,Aさんはなんでまだ会社に残っているんですか?」と。その答えはコレでした。

 「いやぁ~,ウチの会社,確かにバンバン人が辞めるんですけど,そうなるとシワ寄せが残った人に来ますよね。とにかくその作業をさばかなくちゃ,ということで日々残業していたら残業代はつくし,仕事の効率も良くなるし,上司は僕に感謝してくれるし,結果的にいいことずくめでした」

 Aさんは周囲の社員が辞めていくことにより,自分に仕事が集中するようになって,仕事人としての能力が高まったといいます。そもそもAさんの会社に入る人は,他に本命の業界があったけどそれが叶わず,そこに近い業界だから,という理由で入ってくるケースも多いです。そのため,かつての夢(本命の業界で働くこと)を諦めきれない人たちが転職するのを何度も見てきました。ただ,Aさんは「仕事なんてどこでやっても同じだ」という割り切りをしたことで,結局社内で重宝される存在になり,今では非常に快適な職場になったとのことです。もちろん定年までこの会社に勤め上げるつもりのようです。

異動の希望もすぐに聞いてもらえた

 こうした事例は,なにもAさんに限ったことではないようです。あまりにも離職者が多い会社に新卒からずっと残っているため,途中から上司がどんどん優しくなっていったという例も聞きました。某社の係長クラスの30代男性・Bさんは,30人入った同期で5人だけ残った内の1人です。Bさんはこう語ります。

「10年ぐらいで83.3%が辞めちゃったんですよ! 辞めた理由は人それぞれですが,今でもその同期とは時々飲んでます。色々な業界に知り合いが増えていく感じはいいですね。

 あと,大きかったのは,異動の希望を聞いてもらえたこと。というのも,妻とは東京で出会ってそのまま結婚したのですが,ある時,『地元に帰りたい』と言い出したんです。僕としては仕事のことがあるので東京に残りたかったのですが,妻があまりにも強く主張するので,ダメもとでその都市にある支社への異動を上司に相談したら,なんと,すぐに異動できました! 多分,残った16.6%の貴重な新卒に辞めて欲しくなかったのではないでしょうか」

 結局,離職率が高い企業であったとしても,幹部はその会社に長年いる人がほとんどなわけで,単純にいえば「相性が良かった」ということなのでしょう。周囲がバンバン離職し,「私も転職しなくちゃこれからの時代通用しないのでは……」なんて焦る気持ちもあるかもしれませんが,残り続けるとその会社で案外色々といい思いができるかもしれません。報われることは多いと思いますよ。

【プロフィール】

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者,ライター。一橋大学卒業後,大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり,2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書),『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『炎上するバカさせるバカ 負のネット言論史』(小学館新書)。

 

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