以下は,現代ビジネス提供記事(『週刊現代』2022年4月30日・5月7日号)のほぼほぼコピペです。
余分な口座ありませんか?
難しそうだし,今やらなくてもいいだろう……。雑誌や新聞で相続や贈与の特集を読んでも,ついつい先延ばしにしてきた人は多いはず。
だが,重い腰を上げないと,いつか家族に多大な迷惑をかけることになりかねない。エッセイストの鳥居りんこさんが,5年前に母親を亡くした時のことを語る。
「母の預金を相続しようと窓口に行くたびに,『戸籍謄本はお持ちでしょうか?名義人の方との関係が証明できないと手続きはできません』と追い返され,心が折れそうになりました。母は引っ越しが多く各地で金融機関の口座を作っていたので,口座をすべて見つけて手続きするだけで膨大な手間と時間がかかりました」
亡くなる前に簡単な手続きをしていれば,これらの手間は省けたはずだ。
一方,とっくの昔に自分は準備に手を付けている,という人もいるだろう。しかしそうした人でも「新ルール」に対応できないと,せっかくの努力も水の泡となる。
まずは,どんな人でも必ずやっておくべき簡単な手続きから始めていこう。基本的なものと侮るなかれ,意外な見落としがあるかもしれない。
手始めに(1)通帳を並べて,預金残高を確認する。自分の銀行口座なんて把握しているに決まっているじゃないか。そう思った人もいるかもしれないが,本当に「全部」わかっているだろうか。
残される家族のことを想像してほしい。片付けをしながら,家族はあなたが残した通帳を発見する。引き出しの奥からは,表紙が黄ばんだ古い通帳も出てくるかもしれない。
そうした通帳をもとに,預金の名義変更をしようとする。だが,冒頭の鳥居さんの体験談のように,待ち受けているのは「手続き地獄」だ。
銀行口座の名義変更に必要な申請書類は,各銀行で形式が違う。それを完璧に書き上げ,印鑑証明書,遺産分割協議書(または遺言書),戸籍謄本といった書類の束を揃えていかなければならない。
相続税申告の期限は10ヵ月。地方にある口座の名義変更に駆けずり回ることになれば,間に合わなくなる恐れもある。
家族に辛い思いをさせないためには,(2)不要な銀行口座を解約することが重要だ。少額の口座があるが,解約までしなくていいと放置している人もいるだろう。
だが,そんな口座も家族からすれば,いくら入っているかわからない「ブラックボックス」だ。まとまった財産を期待してめんどうな手続きをしたのに,わずかな金額しかなければ落胆も深いだろう。
「日常で使う口座と財産を置く口座に分け,数を減らすことで管理しやすくしておくといいでしょう。相続後の手続きがスムーズに行えます」(行政書士・阿部惠子氏)
りそな銀行や三井住友銀行など,未利用口座から年1000円以上の口座管理手数料を取る銀行も増えている。解約しないと損をし続けるだけだ。
「貸金庫」はトラブルの元
銀行に足を運んで(3)口座の代理人カードを作成する手続きもやっておくべきだ。夫の口座の代理人カードを妻名義で作れば,妻が夫の預金を代理で引き出せるようになる。
たかがカード1枚だが,あるかないかで大違い。都内在住の山田和子さん(70歳・仮名)は「そんな便利なものがあるとは知らなかった」と驚いた。
「夫が認知症になり,銀行窓口で『口座は凍結されるので,後見人をつけてください』と言われてしまった。生まれて初めて家庭裁判所に行き,説明を受けるままに,後見人の申し立てをしました。弁護士が後見人につきましたが,出金のたびに用途を報告しなければならないのが非常に不便です。しかも毎月6万円も報酬を払わないといけません」(山田さん)
代理人カードさえあれば,後見人を使わずとも,妻は何の問題もなく夫の預金を下ろせる。発行の手続きは夫自身が通帳と届出印を持って窓口に行くだけ。妻が窓口に行く必要すらない。
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