巷(ちまた)の学校blog

学校等では教わらなかったことを学び,賢い市民生活(家庭,仕事など)を営むためのブログです。ビジネスにも役立つかも。時には,就職や小論文にも言及。

数字を使う説明で「仕事ができない人」と「できる人」を分ける決定的な差

 以下は,ダイヤモンド・オンライン提供記事のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。

 「あの人,数字を使った説明がうまいなぁ」。数字を巧みに使った話術に,思わず感心してしまった経験はないだろうか。逆に,説明下手な人が話に数字を持ち出すと,かえって相手が理解できなくなってしまうことも……。現在,東京大学大学院で「認知科学」をベースとした研究を行う犬塚壮志氏は,元カリスマ予備校講師で『説明組み立て図鑑』の著者である。犬塚氏によれば,数字を使った上手な説明には,ある共通点があるという。(教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)

数字を使った説明が,うまい人と下手な人がいる

「どうして分かってくれないんだろう……」

「イマイチ伝わっている気がしない……」

 一生懸命説明しているのに,相手はどうも理解してくれないようで,そこにもどかしさを感じたことはないでしょうか。自分としては理解できる,納得がいく話なのに,なぜか相手はしっくりきていない。特に,数字を持ち出すと,さらに相手は分かっていない顔になる,なんてことも……。

 その半面,仕事ができる人は,会議やプレゼンで数字をバンバン使います。数字を持ち出して説明することで,相手には確実に伝わり,理解が進む。さらに相手をグイグイ惹き込んでいく。「この人,数字の見せ方が本当にうまいなぁ」と,感心してしまうほどです。

 いったい,数字を使った説明がうまい人とそうでない人とは,何が違うのでしょうか?

 数字を使った説明がうまい人と下手な人の違いとは何か?この疑問は,私が入社した頃に常に感じていた疑問そのものです。

 私は新卒で,駿台予備学校という予備校に入社しました。仕事の中心は,講義で化学を生徒に指導すること。化学という教科は,ざっくり言うと,目に見えない原子や分子のレベルで物質の構造や変化を読み解く学問です。

 そのため講義では,物質にまつわる目に見えない大きさや極微量の重さ,莫大な個数などを分かりやすく説明しなければなりません。ただ,教壇に立ち始めた当初,そういったイメージしにくい数量を生徒にしっかり理解してもらうのに,とても骨が折れたのを今でも覚えています。化学で扱う有名な数量,「6×1023」という天文学的な大きさの数字などはその典型です。

 こうした経緯もあり,人一倍,数字を用いた説明の技を磨く必要があった私。プライドをかなぐり捨てて,説明がうまい同僚講師をひたすら分析したり,教えを乞うたりしました。その結果,数字を使った説明がうまい人たちに,ある共通点があることに気付いたのです。

数字を使った説明がうまい人たちの「共通点」とは?

 その共通点とは,数字を使った「比較」のスキルに長けていることです。相手がイメージしにくい数量を,比較を使って一発で理解させるのが上手なのです。具体的には,以下の2ステップで説明を組み立てているケースが多いことが分かりました。

Step1 相手がイメージしにくそうな数量を,あえて先にダイレクトに示す

Step2 Step1で示した数量と,相手が知っているであろう数量を比較する

 Step1では,相手に分かってもらいたかったり,インパクトを出したかったりする数量を,まずダイレクトに伝えます。「この土地の面積は,およそ××ha(ヘクタール)あります」のようなフレーズを使います。

 Step2では,相手が知っている物の数量でいうと,それはいくつ分に相当するのかを示します。「この土地は東京ドーム×個分です」などのフレーズです。

 面積であれば「東京ドーム」や「学校の教室」,高さなら「富士山」や「東京タワー」などのように,相手が何となくでもイメージできるような「共通の基準」を,その数量とともにいくつかストックしておくと便利です。記事の最終ページに一覧にして掲載しますので,何か数字を説明するときにぜひ使ってみてください。

「ビタミンCが1000mg」は多い?少ない?

 また,この手法は,数量そのものにインパクトを与えたいときにも効果を発揮します。

 例えば,「このドリンクにはビタミンCが1000mg配合されている」という数量にインパクトを与えたいとします。「1000mg入っています」「とても多い量なんです」とただ伝えるだけでは,1000mgが多いのか少ないのか相手はイメージが湧かない可能性があります。

 しかし,「このドリンクにはレモン50個分のビタミンCが含まれています」と付け加えれば,相手は「レモン50個分のビタミンCって,すごく多そう!」と感じてくれるでしょう。レモンを「共通の基準」にするのです。

レモンを共通の基準にする理由

 これは「レモンにはビタミンCが豊富に含まれている」という相手の認識が元々あるためにできる説明です。このとき,相手がそう認識していないものを共通の基準にしようとすると,返って相手を混乱させてしまうリスクもあります。

 例えば,同じ例で「このドリンクにはパプリカ5個分のビタミンCが含まれています」と,パプリカを共通の基準にして伝えたらどうなるでしょうか?おそらく,レモンの数で比較したときよりもインパクトは弱くなるはずです。なぜなら,よほど野菜に詳しくない限り「パプリカはビタミンCが豊富」という認識を相手は持っていないからです。しかも,レモン50個分という表現に比べパプリカの個数は5個と,数量的にも少なくなり,インパクトが弱くなってしまうのです。

 説明を組み立てるときのコツは,(1)「共通の基準」は,イメージが相手に伝わるものを選ぶ。(2)相手が高確率で知っていて,かつ相手にインパクトを与えられる数量で表現できているかどうかを事前に確認する,この2点です。

 相手が高確率で知っているというのも大切です。スポーツ好きの大人であれば「東京ドーム」や「テニスコート」といえば,広さのイメージが湧きやすいでしょう。しかしスポーツに興味のない小学生は,「東京ドーム」や「テニスコート」と言われても広さのイメージが湧きにくい可能性があります。その場合,共通の基準として「学校の教室」や「東京ディズニーランド」などを選ぶほうが理解してもらえる確率は高まります。その小学生が住んでいる地域によっては,「東京ディズニーランド」よりも「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」のほうがより良いかもしれません。相手の属性や,相手が普段の生活で見聞きしているであろうものを推測し,そこから「共通の基準」を選ぶことが重要なのです。

 共通の基準に例えると,説明したいものはいくつ分になるのか。説明の準備段階では,電卓を持ちながら伝えたい内容を詰めていきましょう。

 例えば,成人男性の体重を共通の基準として,エレベーターの重量制限を説明する場合を想定してください。

Step1 「このエレベーターの重量制限は650kgです」

Step2 「成人男性がだいたい10人乗れるくらいです」

 この例の650kgのように,相手に分かってもらいたい数量があるけれど,その数量を相手がイメージできなさそうなときに有効な説明の仕方です。自分が伝えたい数量(650kg)と,相手が知っている数量(成人男性のおおよその体重)をすり合わせることで,一発で相手に理解してもらえます。

 相手がすでに知っているものと,自分が伝えたい情報をスムーズに結び付ける説明ができるのは,仕事ができる人の説明の大きな特徴です。「共通の基準」が,理解の架け橋になるのです。ぜひ,「比較」を駆使した説明スキルを磨いてみてください。

おすすめの「共通の基準」一覧

 最後に,使えそうな「共通の基準」を紹介します。本記事で紹介したステップと合わせて,数字を説明するときに使ってみてください。

[高さ]

・3階建ての建物 9~10m

東京スカイツリー 634m

・富士山 3776m

[広さ]

・学校の教室の広さ 70平方メートル(≒8.3m×8.3m)

・テニスコート(ダブルス) 261平方メートル(≒79坪)

・東京ドーム 4.7ヘクタール

[体積]

・お風呂の湯船 200L

・25mプール 54万L(540立方メートル)

[速さ]

ウサイン・ボルト 100mを9秒58(≒時速44.6km/h)

・新幹線 最高時速320km/h

[重さ]

・2Lペットボトル1本 2kg

・成人男性の平均体重 1人 65kg

[文字数]

・原稿用紙1枚あたり 400字

・ビジネス書1冊あたり 約10万字

[お金]

・大卒の初任給の平均額 22万6000円(2021年度)

・日本の国家予算 106.6兆円(2021年度)

※すべて,おおよその値です。

≪とても示唆に富む内容でした。是非,応用したいものです≫

 

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>