巷(ちまた)の学校blog

学校等では教わらなかったことを学び,賢い市民生活(家庭,仕事など)を営むためのブログです。ビジネスにも役立つかも。時には,就職や小論文にも言及。

なぜ日本企業の「賃金アップ」は実現しないのか…

 以下は,現代ビジネス提供記事(「週刊現代」2022年11月19・26日号より)

のほぼほぼコピペです。

「メイド・イン・ジャパン」の没落

 日本経済を復活させるには,賃金を上げる必要がある。これまで,多くの経済学者たちが同じ主張をしてきた。

 いったいなぜ賃金が上がらないのか。厳密な回答は難しいが,日本人の多くが「現実」を受け入れられず,政府を含め日本全体が誤った「幻想」を抱き,間違った「努力」を続けているから,としか考えられない。

 まず「現実」とは何か。それは,日本企業の競争力が低下してきているということだ。

' 20年における家電業界の世界市場シェアランキングをみると,韓国や中国が上位を独占している。1位は韓国のサムスン電子で家電業界の世界シェアの約15%を占めており,2位も韓国のLGエレクトロニクスで世界シェアは10.9%だ。また,3位は中国のハイアールで世界シェアの10.8%を占めている。ベスト10では,日本企業は4位のパナソニック(7.3%),9位のシャープ(3.8%)しかない。

 低価格かつ高品質という「メイド・イン・ジャパン」の世界的イメージは,韓国や中国などに奪われつつあり,日本の製造業の競争力は急速に低下してきている。'70年代にアメリカは製造業分野で日本との戦いに敗れたが,アップルやグーグル,アマゾンなどの巨大IT企業を生み出し,いまや世界を席巻している。日本も「現実」を直視し,戦略を立て直す必要があるだろう。

 にもかかわらず,政府は拡張的な財政・金融政策で賃金を上げられるという「幻想」を抱き続けている。これがなぜ「幻想」なのか。やや極論だが,世界全体にはA国とJ国しか存在せず,生産する財・サービスが,(1)スマートフォンと(2)固定電話の2つしかない経済を考えてみれば分かるはずだ。

「努力」の方向が間違っている

 A国は最先端の(1)を生産しているが,J国は旧式の(2)を生産しているとする。当然,両国の人々の多くが購入したいのは最先端の(1)なので,J国の人々は輸入で(1)を購入し,(2)の売れ行きは悪くなる。このため,J国の賃金は伸び悩み,政治は景気をサポートするため,拡張的な財政・金融政策を行う。しかし,これは一時的なサポートになっても,本質的な解決策にはならない。

 J国の状況は,言うまでもなく日本で起きていることと同じだ。ここで重要なポイントは,J国の人々がどんなに頑張って真面目に働き,低価格かつ高品質の(2)を製造しても,国際競争力がない財・サービスを生産する限りは売り上げが伸びず,賃金も上昇しないということだ。これは,間違った方向に「努力」をしていることを意味する。J国の賃金を上げるには,A国のような付加価値の高い財・サービスを生産するしかないのだから。

 日銀の異次元緩和は企業や政府の金利などのコスト意識や財政規律を歪め,拡張的な財政支出は将来世代にツケを先送りするだけだ。賃金を上げるには,経営者は適切な戦略を立案・実行し,労働者も生産性が高い産業領域に移行する必要がある。

 それができないのは,年功序列型賃金や硬直的な労働市場など,日本の仕組みに構造的な問題があるからだろう。根本的な議論をせず,非効率で非合理的なやり方を温存し続ける限り,真の「賃金上昇」が達成される日が来ることはない。

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>