これまで2度の緊急事態宣言の発出や解除の基準の一つとして用いられてきたものの中に「医療崩壊」があります。
そこで,医療崩壊,さらに,最近,大阪の医療関係者が口にする危機的状況についても考えてみます。
医療崩壊とは,通常の医療ができないと定義したいと思います。例えば,院内で入院患者や職員の感染が確認されて,外来診療を中止,新規入院を停止することがそれに該当します。そうだとすれば,コロナ患者の入院態勢のために,そうでない新規入院の受入れができないこと,救急車で受け入れ先の病院を見つけることができないことも,それに該当するでしょう。
したがって,これまで2度の緊急事態宣言下では,医療崩壊が生じていたのではないでしょうか?
次に,「危機的状況」について考えます。
大学病院の○○部長の医師が,移植手術を中止し,その分をコロナの重症患者対応に振り分けることについて,「危機的状況」と表現する報道がありました。
これこそ「医療崩壊」と表現すべきでしょう。
なぜ,「医療崩壊」と言わずに「危機的状況」と言ったのでしょうか?
それは,「崩壊」という語彙が「医療」と結合した場合に,意味が強くなりすぎて社会に混乱をもたらすと考えたためだからです。にも拘らず,基準の一つとして「医療崩壊」という語が用いられてきました。すなわち,「医療崩壊」という語は,国民に自粛を要請するための方便に過ぎなかったのかもしれません。
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