巷(ちまた)の学校blog

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70歳からは「症状」がなければ,健診は無理に受けない方がいい?

 以下は,日刊ゲンダイDIGITAL提供記事のほぼほぼコピペです。

和田秀樹 笑う門にボケはなし】  

 コロナ禍での感染対策から健診の受診率が下がったことが話題になりました。読者の皆さんは,いかがでしょうか。私の結論からいうと,健診回避の行動が悪いことだと思いません。今回は,健診についてお話ししましょう。 

 日本では,労働安全衛生法によって,健康診断を実施するのは会社の義務です。それでサラリーマンは1年に1回,健康診断を受けるのが習慣になっていると思います。その流れで会社を退職してからは,近くのかかりつけ医などで健診を引き継いでいる方が少なくないでしょう。

 健診の受診率は,女性より男性の方が高い。もし健診に延命効果があるとすれば,受診率が高い男性の方が寿命が長いはずです。しかし,現実は逆で,女性の方が長い。その差はおよそ6年になります。実は,健診がなかったころの男女差は2年でした。  

 健診の判定基準は,各項目の平均値を挟んで95%以内を正常とし,それより高い数値と低い数値を異常としています。統計的なものにすぎないのです。  

 人間の体はそれほど単純ではなく,数値が高くても健康な人がいれば,正常でも病気な人がいます。異常値と判定された人が病気になるという明らかなエビデンスがあるのはわずかです。  

 フィンランド保健局は,40~45歳の上級職員1200人を600人ずつのグループに分けて追跡。一つは定期健診や栄養チェックを行いながら,運動やたばこ,アルコール,砂糖や塩分の摂取抑制などの健康的な生活を指導。もう一つは何も指示せず,調査票の記入だけを依頼しています。  

 15年後,両者を比較した結果,健康管理をされていないグループの方が心臓や血管系の病気,がん,高血圧,各種の死亡,自殺のいずれについても,数が少なかったのです。調査をした狙いは,健康管理をしたグループの方が寿命が延びるとする結果を期待したのでしょうが,現実は皮肉な結果でした。  

 この結果が意味するところは,ガチガチな健康管理は,場合によっては健康を損ねる恐れがあるということです。厳しすぎる管理がストレスとなり,このような結果を招いたのではないでしょうか。  

 私は,少なくとも70歳を過ぎて症状がなければ無理に健診を受けたり,受診したりしない方がいいと思います。それでも何か受けるなら,心臓ドックや脳ドックをお勧めします。これらを受ければ,心臓と脳の血管の異常が明確に分かりますから,因果関係が一目瞭然です。血管の狭窄やこぶなどがあって,うまい医者なら血管内治療が有効ですから。

和田秀樹精神科医

 

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