巷(ちまた)の学校blog

学校等では教わらなかったことを学び,賢い市民生活(家庭,仕事など)を営むためのブログです。ビジネスにも役立つかも。時には,就職や小論文にも言及。

70代の大半はピンピン…「本当の健康寿命」を知ろう!

 以下は,現代ビジネス提供記事(精神科医の和田 秀樹 氏による)のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。

 年々,右肩上がりに延びている日本人の平均寿命。一方,健康で自立して暮らせる期間とされる「健康寿命」は,男性が72.68歳,女性が75.38歳だという。この数字を見て,不安を感じる人も多いだろう。しかし,著書『70代から「いいこと」ばかり起きる人』(朝日新書)を上梓した,精神科医で老年医学の専門家でもある和田秀樹氏によれば,この数字には大きな誤解があるという。そんな同氏に,健康寿命のトリックと「本当の健康寿命」について教えてもらった。

健康寿命」を真に受けてはいけない

 厚生労働省が2019年に発表した,日本人の健康寿命は,男性が72.68歳,女性が75.38歳でした。  

 健康寿命の定義は,「健康上の問題で,日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされています。そう聞くと,「じゃあ,72歳になったら介護が必要になるの?」と思う人もいるかもしれません。  

 まさか,そんなわけはありません。「未来ビジョン研究所」の調査によると,70代の約7割は「自分は健康だ」と思っています。私の臨床現場における実感でも,70代の人の多くはピンピンしています。  

 厚生労働省の調査でも,介護サービスを1年間継続して使った人は,70代前半では男女ともたった4%しかいません。72歳で健康寿命を迎えるという考えは,明らかに実態とかけ離れています。  

 いったいなぜ,こんな乖離が起きているのでしょうか。原因はずばり,健康寿命の算出方法にあります。  

 健康寿命がどう決められているのか,みなさんはご存じでしょうか? 平均寿命のように,客観的な数字をもとに決められていると思っている人も多いのではないかと思います。  

 じつは,健康寿命厚生労働省によるアンケート調査で決められています。  

 全国から無作為に抽出された男女を対象に,「あなたは現在,健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか?」と尋ね,「ある」と回答した人は不健康,「ない」と回答した人は健康とみなして算出されたものなのです。  

 この聞き方では,病気ではないけれど,なんとなく体調がすぐれない人も「ある」と答えるでしょうし,たまたま風邪をひいていた人や,ケガをしていた人も「ある」と答えるでしょう。  

 逆に「ない」と言いきれる人がどれだけいるでしょうか? 誰だって不調のひとつやふたつ,あると思います。  

 このように健康寿命というのは,きわめて主観的であやふやなものなのです。そんなものを真に受けて,年をとることを恐れたり,健康寿命を伸ばそうとやっきになったりする必要はありません。

「本当の健康寿命」は男女とも80歳以上

 私たちが本当に知っておくべき数字は,健康寿命ではなくほかにあります。  

2012年に発表された「健康寿命の算定方法の指針」という説明書では,65歳の人が亡くなるまでの間,要介護認定を受けずに自立して生活している期間と,要介護認定を受けて自立できなくなった期間,それぞれどれくらいあったのか,という調査をしています。  

 調査結果によると,65歳男性の平均余命は18.9年。そのうち,自立している期間が17.2年,自立できなくなった期間が1.6年でした。女性の場合は,平均余命が24.0年。自立している期間が20.5年,自立できなくなった期間が3.4年でした。  

 つまり,男性は82.2歳まで,女性は85.5歳までは,介護の必要もなく健康でいられるということです。  

「男性82歳,女性85歳」  

 私はこの数字こそが,「本当の健康寿命」ではないかと思っています。  

 もうひとつ強調しておきたいのは,男性の「自立できなくなった期間」がたった1.6年であるという事実です。  

 72歳で健康寿命を迎えたあとは,81歳の平均寿命を迎えるまで,ベッドの上で寝たきりで過ごすことになる。そんなふうに想像していた人もいるかもしれません。それでは年をとりたくないと思うのも当然でしょう。  

 実際は,介護が必要になるのは,死ぬ前のわずか1年半ほどなのです。もちろん,これは平均値ですから,もっと少ない人もたくさんいます。  

 そう思えば,年をとることが怖くなくなるのではないでしょうか。

人間の肉体は思っているほど衰えない

 人間の肉体というのは,私たちが思っているほど衰えません。  

たしかに,30歳のときと70歳のときの筋肉量をくらべると,筋肉量は30%ほど減ります。ですが,30歳と70歳では生活の内容がまったく違います。  

 30歳のときは,ハードな仕事を要求されることもあったかもしれませんが,70歳の高齢者に重い荷物を持たせたり,全力疾走させたりする人はいないでしょう。  

 つまり,30%ほど筋肉量が減っても,70歳の日常生活に影響を与えるほどではないということです。70歳らしい生活を送ることのできる肉体は,たいていの人が維持できます。  

 それを裏づけるのが,東京都が行なった高齢者の生活実態に関する調査です。  

 1980年の時点では,杖などを使わずに歩くことができる65~69歳の割合は90%以下でした。しかし,2000年にはその割合が95%を超えています。75~79歳の場合でも,1980年では80%を切っていたのが,2000年には90%近い人が自分の力だけで歩くことができています。  

 さらに20年近くたった現在では,自力歩行の割合はおそらくもっと高くなっているでしょう。

 高齢者というと,杖や車いすをイメージしがちです。しかし,高齢者の日常生活能力は,昔とくらべて断然高くなっています。  

 あれもできなくなった,これもできなくなったと,若いころの自分とくらべて嘆くよりも,あれもできる,これもできると,まだできることを数えたほうが,幸せな毎日を過ごせるのではないでしょうか。

≪随所に見られる新たな視点。これこそが和田氏自身の「健康寿命」の証かもしれません≫

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>