巷(ちまた)の学校blog

学校等では教わらなかったことを学び,賢い市民生活(家庭,仕事など)を営むためのブログです。ビジネスにも役立つかも。時には,就職や小論文にも言及。

体験・転職で「不幸な退職」が嫌なら守るべき3つの作法

 以下は,経済評論家,楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏(転職12回の経験者)による記事(ダイヤモンド・オンライン)のほぼほぼコピペです。

 まとまった時間がとれる年末年始は,転職を考える人や実際に転職する人が多い時期だという。そこで転職を12回経験した筆者が,転職する際の退職の作法をお伝えしたい。退職に失敗して元の職場に残って気まずい思いをした人や,退職はできたが転職に失敗して無職になってしまった人を目撃してきた。読者にはそんな不幸な退職を味わってほしくない。

年末年始から年度末にかけては,退職が増える季節?

 読者の中には,年末から年始を挟んで転職する人がいるのではないか。筆者もこの時期に転職したことが3回ほどある。

 あるいは,ボーナスが年1回支給の会社は1月から2月ごろに支払われることが多いので,これを受け取ったりボーナスの額を見たりして,3月くらいに退職するスケジュールで転職を決める人が多いかもしれない。

 転職の際の手続きは,特に旧勤務先に退職の意思を伝えるあたりの手続きに緊張する人が多い。過去に12回転職した筆者も,ほぼ毎回それなりに緊張した。

 今回は,今後転職する読者のために転職の際の「退職作法」について書いてみることにする。

退職を切り出すのは,期限の少し前の金曜日がいい

 会社に転職の意思を伝えるタイミングは,計画的に考えるべきだ。

 通告日の決定条件は概ね三つある。

(1)新会社への入社についてリスクが消えていること

(2)就業規則上の退職通告日(退職希望日の2週間前から1カ月前くらいが多い)よりも数日以上前であること

(3)できれば金曜日であること

退職通告の作法(1)新会社への入社についてリスクが消えている

 まず,新会社への入社が確実でリスクののいものになるまで退職の意思を伝えてはならない。「退職するかもしれない」「退職を考えている」といった形でもいけない。

「辞める(かも)」と言うと,上司や周囲の関心を引くし,あれこれ構ってもらえるし,そもそも転職の理由には職場を離れたいという気持ちがあることが多いので,早く言いたくてうずうずする場合もあるだろう。しかし,人生のリスク管理の一つとして,「転職が確実になってからの退職通告」は守った方がいい。

 この原則を守らなかったおかげで無職の状態に陥ったり,元の職場に残って気まずい思いをしたりした人物を筆者は何人か知っている。

退職通告の作法(2)就業規則上の退職通告日よりも数日以上前

 転職が確実になったら,退職希望日を決める必要がある。退職希望日は,次の会社への入社予定日の前日にすると諸々の手続きがスムーズだ。通常は,有給休暇を何日か消化して,手続き上の退職日の何日か前を最終出社日にすることが多い。この辺の日程は,新しい勤務先と話し合って前後に余裕を持って決められると具合がいい。

 会社や上司のハンドリングによっては,手続き上退職が認められるまでに日数を要する場合があるので,退職通告が「1カ月前」というルールなら,1カ月と数日前くらいに通告するといい。

 もちろん,自分が複雑な仕事を抱えた管理職等で,引き継ぎに時間がかかる場合は,2カ月前,3カ月前に通告が必要な場合もあるだろうが,大事なことは「次の職場にいいコンディションで移ること」だ。退職日がなかなか決まらなかったり,退職の直前まで引き継ぎ作業に追われたりする,といった状態は避けたい。

退職通告の作法(3)できれば金曜日であること

 退職の通告は金曜日がいい理由は,慰留の説得が長引いたときに,間に休日が入る方がいいからだ。 辞めるという側にあっても,慰留の説得やなぜ辞めるのかの話し合いについては,誠意を持って付き合うのが礼儀だという事情もある。スケジュールには少々余裕を持たせる方がいい。

「辞めます」と言うと多くの場合,まずは慰留される。会社の側は,「止められるか,止められないか」「辞めてもらってもいいか,何としても引き留めたいか」等を考える時間が欲しい。誰かの責任問題になる場合もあるので無事な着地(もっともらしい理由など)を考える時間が欲しい場合もある。

 典型的には,金曜日の午後遅くくらいに上司に退職の意思を伝えて,夕方に慰留その他の話し合いがあり,その場では話が決着しない状況が考えられる。こうしたときに,「自分にとって大事な問題でもあるので,土日によく考えてみます」と話を引き取ると,スムーズに帰宅できることが多い。

 土日の間に,上司はいくつかの点について考えるはずだ。まず,辞めたいと言っている社員が重要な社員の場合,人事部や上司の上司筋に情報を伝える必要があるかもしれない。また,引き留めが可能なのかどうかも判断したいし,不可能な場合の理由も用意したい。加えて,辞める社員の後任の人繰りを考えなければならない。

 あれこれ考えるうちに,上司の側で,「まあ,どうしても辞めるというなら仕方がないか」という覚悟が決まることが多い。憂鬱な週末を過ごす上司は少々気の毒だが,2日間で心の整理が進んでいるはずだ。辞める側としては,月曜日に晴れやかな表情で「やっぱり辞めます!」と言うといい。

 なお,自分の直属の上司を飛び越えて,上司の上司,あるいは人事部などに先に退職の意思を伝えるのは,よほどの場合を除いてやめた方がいい。直属の上司の顔をつぶす行為は,多くの場合やり過ぎだし,余計だ。引き継ぎ等がスムーズにいかなくなる可能性もある。

退職をするときに「持ち出せるもの,持ち出せないもの」

 1990年代くらいまでの,情報が紙ベースで管理されていた時代には,転職が決まっているがまだ退職の意思を告げていない社員が,遅くまで残業して名刺のファイルや顧客リストなどを密かにコピーする姿が見られることがあった。特に営業マンの場合は,名刺ファイルが「命の次に大事な飯の種」的な重要性を帯びることがあったが,外資系企業の一部では,個人の名刺ファイルであっても「それは業務上,手に入れたものなので会社の財産だ」という扱いをされることがあった。

 上司の部屋で退職の意志を告げると,その場でIDカードを没収されて自席に戻ることを許されず,荷物は会社側が整理して後日宅配便で届く,というようなギスギスした会社もある。

 近年では,顧客や取引先のリストなどは会社のデータベースに入っているだろうが,重要なデータのダウンロードは追跡できるようになっていることが多い。また,紙のコピーのような場合でも監視カメラが作動している場合もあるので,退職直前のデータ持ち出しはやらない方がいいと申し上げておく。

 仕事上必要なデータや連絡先,自分の仕事のデータや書類(自分の「作品」的な書類や研究のデータ)などは日頃から手元に持っておくべきで,退職を決めてからごそごそ持ち出すべきではない。

 また,これまでの職場で使っていて便利だったマニュアルのようなものについても,持ち出しは我慢しよう。もちろんデータ持ち出しを疑われないことが大事だからなのだが,筆者の経験では,昔の会社の書類はあまり役に立たないことが多かった。「自分の頭の中に入っていて,いつでも使える知識のみが自分の実力なのだ」と割り切って,身軽に転職する方がいい。

 もちろん,ギスギスしていないフレンドリーな職場に勤めている場合は,周囲の協力を仰いで退職の準備をするといい。辞める側も単に仕事を引き継ぐだけでなく,同僚の相談に乗るなど大いに親切にして,残った日々を惜しむといい。

 なお,退職の前にオフィスの庶務を担当している人物や,親しい後輩などに親切にしておくと,退職後に届いた郵便物等を転送してくれたり,連絡してきた人に転職後の連絡先を伝えてくれたりする場合があるので,覚えておこう。

転職先を伝えるべき?行き先は言わない方がいい理由

 退職の意志を告げる時に迷うのは,転職先を伝えるか否かだ。

 結論から言うと,「言わなくてもいいし,たぶん,言わない方がいい」が基本だと覚えておこう。

 そもそも,会社を辞めた後のことは辞める会社には無関係な話だ。「ご心配いただかなくて結構です。新しい勤務先は,しかるべき時にお伝えします」と言っておくといい。

 特に競合等の問題がない場合であっても,転職先を職場に告げると,転職先の会社や業界の「うわさ話」や「心配事」を言いに来るお節介な人物が登場することがある。これは,せっかく決まった転職の気分を損なうので避けたい。

 職場に残る同僚からすると,そこを逃れて別のよりよい職場に転職して行く人間は時に嫉妬の対象だ。「100%気分良くは転職されたくない」という気分が働くことがあるのだ。

有給休暇はパラダイス!?辞める職場に気を回すのは無駄

 退職すると決まったら,速やかに仕事を引き継いで有給休暇の消化に入るのが,転職する本人にとっても職場に残る同僚にとっても良いことだ。

 一般論として,周りとモチベーションが異なる社員は同じ職場にいない方がいいし,仕事の情報管理上,辞めていく社員がいると不都合なケースもある。

 有給休暇をどのくらい消化するのがいいかはケースによるが,「ほどほどに休めて,休みぼけするほどでもない期間」は2〜3週間くらいのような気がする。あまりに長く休むと,再び働くのが億劫になる場合があるから,ほどほどにしておくのが良かろう。

 繰り返しになるが,転職の際の諸々の,最終的かつ最大の目的は,「良いコンディションで次の職場に臨むこと」にある。辞める職場に残る影響などに気を回すのは無駄だと心得よう。また有休期間中にも,仕事の参考になる書籍を読むなど,次の職場での仕事のモチベーションを上げる工夫をするといい。

 最初の転職ではそこまで余裕を持てないかもしれないが,転職の狭間に取る有休休暇の期間はなかなか気持ちのいい日々だ。

 理由は,辞めたかった職場を離れることができるし,転職できるというそこはかとない優越感・達成感があるし,次の職場についてはまだ嫌なところが見えていない期間であるからだ。

 せっかく転職を決めたのだから,貴重な日々を楽しむといい。転職する全ての人のご成功を祈る。

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>