以下は,東洋経済ONLINE提供記事のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。
累計60万部を超える『名言セラピー』シリーズ,34万部の『あした死ぬかもよ?』など,著者累計150万部とベストセラーを連発するひすいこたろうさん。
コピーライター10年,作家17年の経験を通して,「こう書いたら伝わる」「こう書いたら売れない」と体得したコツを「14の秘伝」としてまとめた新刊『ひすい先輩,幸せになる伝え方を教えて!』では,学校の後輩に教えるという形で,すべての秘伝を初公開しています。
この連載では,全14本の中から3本を厳選してご紹介します。
話がつまらない人はズバリ…
話が面白い人,面白くない人,その違いはズバリ……「エピソード」にあります。
話が面白くない人は,エピソードがないんです。話が面白い人は,ちゃんとエピソードがあるし,そのエピソードが面白いんです。
僕のデビュー作でありシリーズ累計60万部となった『3秒でハッピーになる名言セラピー』のまえがきを題材に,伝える際の最も重要な基本の型を説明させていただきますので,まずはお読みください。
-
1個100円のリンゴが1000円で飛ぶように売れた理由……。
1991年の秋に起きた実話です。
台風が次々に上陸して青森県のリンゴが9割も落ちてしまいました。作ったリンゴの9割が売れなくなりましたから,リンゴ農家の人は,肩を落として嘆き悲しみました。
テレビでも連日やっていましたから,知っている人も多いと思います。しかし,このとき,嘆き悲しまなかった人がいるのです。「大丈夫。大丈夫」と。
なぜリンゴが落ちて売れないのに大丈夫なのでしょうか?こういうことでした。
「あの巨大な台風でも落ちなかったリンゴを『落ちないリンゴ』の名前で受験生に縁起物として売りましょう。1個1000円で」
すると,普段は1個100円だったリンゴが高いのに飛ぶように売れたんです。「落ちないリンゴ!」は6万個も売れて,受験生もとても喜んで食べて,全国から感謝状まで届くようになったのです。
その方は,下に落ちた9割のリンゴに意識を向けず,上に残っていた,落ちなかった1割のリンゴを見ていたのです。
違いは,上を見たか,下を見たかだけ。
-
というわけで3秒セラピー
視点が変われば人生は変わる。
上を向いて歩こう
同じ状況にもかかわらず,嘆き悲しむ人がいます。同じ状況にもかかわらず,みんなの喜びを生み出せる人がいます。視点が変わると人生が一瞬で変わるのです。
台風で落ちたリンゴ。これは動かすことのできないひとつの事実。しかし,事実をどう見るか,どう受け止めるかは,あなたの自由です。
だとしたら,人生が楽しくなる見方をしたいと思いませんか?
「メッセージ」×「エピソード」が基本の型
僕の本は,読者さんに「押しつけがましくなく,スッと心に入る」とお褒めいただくことが多いのですが,それは「メッセージ」だけで伝えていないからです。その「メッセージ」がストンと腑に落ちる「エピソード」と合わせて伝えているからです。
「メッセージ」とは,「その話を一言で要約すると?」(要はどういうこと?)と問うた答えです。
リンゴの話,これを一言で要約すると,3秒セラピーの以下の部分になります。
視点が変われば人生は変わる。
上を向いて歩こう♪
そして,その「メッセージ」を腑に落としてあげる「エピソード」が台風で落ちたリンゴの話になります。
「メッセージ」だけで伝えようとして「エピソード」がないと,「視点を変えろ」とか「前向きに考えろ」とか,どうしても「〇〇せよ」と上から目線になってしまいがちで説教や演説になっちゃうのです。でも,実は,そういう伝え方をしちゃう人がけっこう多いのです。
「もっと明るく考えた方がいいよ」
「視点変えなよ」
「そんなに暗く考えても何も変わらないよ」
などと言われても,全く心に響かないですよね?
メッセージだけで伝えない。そのメッセージを腑に落とすエピソードと合わせて伝える。
これが僕の著作全てにわたって共通する伝え方の基本の型です。
そして,面白いかどうかは,「エピソード」にかかっているんです。
なぜエピソードが大事なのか。エピソードは「印象に残る絵」になって頭の中に浮かぶからです。
リンゴの話のメッセージは「視点が変われば人生が変わる」になるんですが,どうです? このメッセージだけだと絵が浮かばないですよね? そこで「エピソード」(物語)のリンゴの話が必要になるのです。エピソードを通してメッセージを伝えると,相手の頭の中に印象的な絵が浮かぶから,説得するのではなく,納得してもらえるんです。
では印象に残る「エピソード」があればそれでいいのかということになりますが違います。「エピソード」と「メッセージ」はセットで伝えることが基本の型になります。
違うものを掛け合わせることで,面白く伝える
僕は,このことを「歌」にして伝えるという言い方をしています。「エピソード」=「メロディ」とするなら,「メッセージ」=「歌詞」です。
このセットで初めて「歌」になるわけです。詩人の詩集を買って毎日読んでる人ってあんまりいないんです。歌詞のない曲,インストゥルメンタルを好んで聞く人も少ないです。
でも歌は,みんなめちゃめちゃ聞いてますよね。歌詞とメロディで,歌になることで,言葉に翼が生えたかのように広がりが生まれるのです。
また,話しながら,結局,何を伝えたいかわからなくなることってあると思うんですが,そういうケースは,頭の中が整理されてないんです。
伝えたいことがズバリ,一言になっていないのです。メッセージが自分でわかってないのです。
「その話を一言で要約すると?」と問うたその答えが「メッセージ」。そして,その「メッセージ」を腑に落としてあげる「エピソード」(物語)とセットで伝えてあげるんです。
メッセージだけだと聞いていて面白くない。エピソードだけだと,ただの面白い話で印象に深く残らない。つまり,面白くて奥行きのある話って,「メッセージ」と「エピソード」という2つの違った要素の掛け合わせで生まれるんです。
面白く伝えるって,違うものを掛け合わせて伝えるってことなんです。
「エピソード」(メロディ)(あなたの「外側」で起きた現実で「絵」にできる)
×(掛ける)
「メッセージ」(歌詞)(あなたの「内側」で感じた感情や心の世界を「言葉」にしたもの)
「外」側で起きたこと(絵)と「内」側で感じたこと(言葉)を掛け合わせて,「絵」×「言葉」で奥行きのある面白い話(歌)は作られるのです。違うもの同士の掛け合わせで表現は生まれるのです。
「3秒でハッピーになる名言セラピー」シリーズは,「誰かに話したくなる意外性のある面白いエピソード」×「名言」という作りで,全話構成しています。
目標は「3分・1200文字」
このゴールデンパターンに沿って伝えていた,伝え方の天才が,お釈迦様です。お釈迦様は,いつも真理(メッセージ)をたとえ話(エピソード)で伝えていたんです。だから時代を超えて伝わり,2500年以上も教えが残ったんです。
さらに僕は,「エピソード」×「メッセージ」で3分で伝えることを目標にしています(話して3分は文字にすると1200文字です)。
そこに入らないものは全部省くことで逆に,話が長々とならず,あなたの話はグンと聞いてもらえる話になります。
YouTube世代は,話を聞いてくれる時間がドンドン短くなっています。出だしの30秒,また出だしの数行で,面白いって思ってもらえなかったら,もう永遠に聞いてもらえない,読んでもらえない。今はそれくらいに思ってちょうどいい時代です。
多くの場合,話を盛り込みすぎて,結果,伝わらないものになっています。そして,短くしようにもどこを削ればいいのかわからない。
それで,この基本構成「エピソード」×「メッセージ」の出番です。
「エピソード」×「メッセージ」
「1トーク」=「1エピソード」×「1メッセージ」
この基本の型にそってお話を構築する。あってもなくてもいい話はないほうがいい。なくてもいい話はオールカットして,1200文字以内を目標に構成すればいいのです。
【秘伝】――「エピソード」トークに「メッセージ」をのっけろ!
≪リンゴの話は知っていますが,氏の場合にはあまりにもデフォルメされていて,思わす引いてしまって,「つまらな」く思えてしまいました。単に「おもしろ」ければいいというものではないことを,却って実感してしまいました。確かに氏の話のとおりなのですが,それはトークがつまらない場合にあてはまること……。「事実」を伝えることとは異なる世界のお話でした≫
お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>