以下は,LIMO提供記事のほぼほぼコピペです。
「将来,年金っていくら位もらえるのかな」と頭をよぎったことはありませんか。
会社員や公務員の方が加入する厚生年金は,現役時代の収入が受給額を左右するため,人によってバラつきがあります。年金だけで十分という方もいれば,年金だけでは生活できないという方もいるでしょう。特に,女性は結婚や出産を理由に一時的に仕事から離れたり,辞めたりするケースもあるため,男性より受給額が少ない傾向にあります。
また,年金について意外と見落としがちなのが「手取り額」です。「思っていたより数万円も少ない…」とがっかりすることも。
そこで今回は,厚生年金の平均受給額となる「15万円」と「女性のおひとりさま」に焦点をあて,年金の額面と振込額が違う理由について解説していきます。
1.【おひとりさま女性】厚生年金月額15万円(額面)を受け取れる女性は何割いるのか
厚生労働省が発表した「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると,厚生年金の受給額は,平均で月額14万3965円でした。
一見すると,「厚生年金15万円」は一般的な水準に感じられます。しかし,男女別に見ると様子が異なります。実は,男性の平均16万3380円に対し,女性の平均は10万4686円なのです。では,15万円以上を受給している女性は全体の何割くらいいるのでしょうか。
1.1 【おひとりさま女性】厚生年金月額階級別の受給数
厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より,女性の厚生年金受給額の分布を確認していきましょう。
出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO
編集部作成
平均受給額:10万4686円
・1万円未満:2万9276人
・1万円以上~2万円未満:6963人
・2万円以上~3万円未満:5万519人
・3万円以上~4万円未満:8万9784人
・4万円以上~5万円未満:7万9430人
・5万円以上~6万円未満:9万3183人
・6万円以上~7万円未満:23万7418人
・7万円以上~8万円未満:44万2558人
・8万円以上~9万円未満:68万666人
・9万円以上~10万円未満:85万1331人
・10万円以上~11万円未満:77万7047人
・11万円以上~12万円未満:59万523人
・12万円以上~13万円未満:41万5686人
・13万円以上~14万円未満:29万4029人
・14万円以上~15万円未満:21万3811人
・15万円以上~16万円未満:15万5836人
・16万円以上~17万円未満:11万2272人
・17万円以上~18万円未満:7万6925人
・18万円以上~19万円未満:5万2191人
・19万円以上~20万円未満:3万7091人
・20万円以上~21万円未満:2万4351人
・21万円以上~22万円未満:1万6322人
・22万円以上~23万円未満:1万444人
・23万円以上~24万円未満:6549人
・24万円以上~25万円未満:3719人
・25万円以上~26万円未満:2081人
・26万円以上~27万円未満:1047人
・27万円以上~28万円未満:488人
・28万円以上~29万円未満:196人
・29万円以上~30万円未満:135人
・30万円以上~:361人
※厚生年金受給額には国民年金(老齢基礎年金)の金額を含みます。
ボリュームゾーンは「9万円以上~10万円未満」で,次に「10万円以上~11万円未満」,「8万円以上~9万円未満」と続きます。
男女全体の平均受給額となる約15万円超の厚生年金を受け取っている女性は,1割程度。
女性で厚生年金を15万円受給できている方は,かなりの少数派ということです。ちなみに,男性の場合は約半数が15万円超えでした。男性にとっては15万円がそう高くない壁だということもわかります。
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【おひとりさま女性】厚生年金15万円(額面)でもがっかりな理由とは
厚生年金受給者の中でも,たった1割ほどしか存在しない15万円超えの女性。ねんきん定期便などで「見込額15万円」を確認して,老後15万円の年金収入を想定してライフプランを考える方もいるかもしれません。
しかし,年金にも「税金や保険料」の支払いがあります。
年金から天引きされる金額は,年金所得や住所地によって異なります。より具体的にイメージしていただけるよう,ここでは東京都八王子市に住む女性(76歳)を例に見ていきましょう。
※厚生年金以外の収入がないケースを想定しています。
2.1 厚生年金から天引きされる税金(所得税・住民税)
厚生年金が月額15万円の場合,年間収入は180万円です。年金しか収入がない女性は,所得税として4623円,住民税として1万6500円が天引きされます。
・所得税:4623円
・住民税:1万6500円
2.2 厚生年金から天引きされる介護保険料
厚生年金の年間受給額が18万円以上の場合,介護保険は強制的に年金から天引きされます。八王子市の場合,年金収入が180万円の方の介護保険料は年額7万9400円となります。
・介護保険料:7万9400円
2.3 厚生年金から天引きされる健康保険料
年金から天引きされる健康保険料は,「国民健康保険」か「後期高齢者医療制度」かによって異なります。75歳以上の方は後期高齢者医療制度に該当するため,今回の事例となる76歳の女性の場合,後期高齢者医療制度の保険料が天引きされます。
東京都後期高齢者医療広域連合の所得割率と均等割額を用いて計算すると,保険料は年間約4万8800円です。
・後期高齢者医療制度の保険料:4万8800円
2.4 厚生年金15万円の場合,手取り額はいくらなのか
天引きされる税金や保険料を合計してみましょう。
・所得税:4623円
・住民税:1万6500円
・介護保険料:7万9400円
・後期高齢者医療制度の保険料:4万8800円
合計:14万9323円
年間で約15万円もの税金や保険料が天引きされます。
手取り額は,(額面)180万円-(税金・保険料)15万円=165万円となり,月額では手取り約13万7000円となります。
※概算なので実際の金額とは異なります。また天引きされる金額は年度途中に決まるため,1年を通して同じ手取り金額になるとは限りません。
15万円あると思っていた年金が手取りで13万円台になってしまうのです。年金収入が中心となる老後生活において,約2万円近くの差は大きいですよね。毎月15万円の収入を確保したい場合には,差額の2万円分を貯蓄などから取り崩す必要があります。
貯蓄から毎月2万円を取り崩す場合,年間で24万円,10年で240万円,20年で480万円になります。毎月15万円の収入でやり繰りができれば,不足分は貯蓄でまかなえますが,老後は医療や介護など不足の事態への備えも重要です。
年金の手取り額を考慮した上で,老後に向けたマネープランを検討する必要があるでしょう。
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【おひとりさま女性】老後に備えるには
見落としがちですが,年金には税金や保険料がかかるため,実際の振込額は額面と異なります。(一定の条件があるため,受給額や家族構成などによっては税金がかからない方もいます。)
年金受給が開始した時にがっかりすることのないよう,「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などで自分自身の年金受給見込額を把握し,大まかな天引き額を確認しておきましょう。その後,老後,毎月どれくらいの支出かを計算してみてください。
総務省の「家計調査報告(2021年)」によると,65歳以上,無職単身世帯の生活費は月額14万4747円です。
出所:総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身
世帯の家計収支」
ただし,ここには住居費が約1万3000円しか含まれていません。持ち家なのか賃貸なのかといった住まいの事情によっても支出額に大きな差が出てくると考えられます。老後,想定される支出については,介護,医療費なども考慮して算出してみてください。老後に向けてどれくらいの貯蓄額を目指すべきかが見えてくるでしょう。
預金だけでは老後資金を貯めるのに時間が足りないという場合は,運用に目を向けてみることも重要かもしれません。運用には当然リスクはありますが,今はNISAやiDeCo,個人年金など様々な方法があります。まずは自身の必要額を把握することで,不安のない老後生活の第一歩となるでしょう。
参考資料
・八王子市「令和3年度(2021年度)から令和5年度(2023年度)の介護保険料(所得段階)」
・厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」
お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>