個人事業主(実質一人会社の代取)になってはいけない人は!(2)
株式会社クライス・アンド・カンパニー 代表取締役 丸山貴宏氏の主張に加除訂正したものです。
<独立し個人事業主(一人会社)になっても成功し続けるのが難しい理
由>
なぜ,個人事業主(一人会社)として成功し続けるのは難しいのか。
まず個人事業主(一人会社)になったら,自分で仕事を取ってこなければなりません。営業マインドを持ち,営業活動をできるのが最低条件で,「自分は職人タイプだから」と言っている方は,独立してはいけません。
また,現時点で仕事のオファーが多数あったとしても,広義の営業活動を行う必要があります。なぜなら,将来の仕事が入ってこなくなるからです。いろいろなところへ顔を出し,ウィークタイズ(ゆるやかなつながり)を張り巡らせておくことが大事です。そうした活動にちゃんと時間とお金とエネルギーを費やせるかどうか。それができなければ先細ってしまうでしょう。
*実は,これがしんどい。「不自由」この上ない。
並行して,自分自身の「アップデート」が欠かせません。VUCA(ブーカ/変動性,不確実性,複雑性,曖昧性の英単語の頭文字を取った略語)の時代と呼ばれる現在,世の中の動向を把握しながら,必要なスキルや能力を学習し,獲得していく必要性はますます高まっています。ちょっと前に通用したスキルや経験が,すぐ役に立たなくなってしまうことが常です。
*したがって,自己啓発・アップデートを継続する力が不可欠です。その力は自ら生み出さなければなりません。そして,その力を生み出すことができなければ,即,リングから退場することになります。
その好例が採用業務です。人の集め方やコミュニケーションの仕方がSNS中心に移行し,採用手法がこの数年で劇的に変わったため,一昔前の採用コンサルタントが食べていくのは困難になっています。昔からいる採用コンサルタントで現在も活躍できているのは,新しい採用手法やコミュニケーション方法にアップデートできた人だけです。
偶然,新しい方法を身に付けられるようなプロジェクトに携わっていればおのずとアップデートすることができますが,そうでない場合は自分で学びに行くしかないのが個人事業主(一人会社)です。誰も育ててはくれないし,教育的見地で仕事をさせてはくれません。
したがって極端な話,料金は無料でいいから仲間の仕事を手伝って,自分のスキルをアップデートするようなことも場合によっては必要でしょう。
もう一つ,独立の難しさで見落とされがちなのが,会社員時代よりも高いミッションコンプリート力が求められる点です。要するに,定められた締め切りまでに期待値以上のアウトプットを納品できるかどうか。最初に受注した仕事の成果が平凡だと,他の競合も検討対象になりますから,継続してオーダーをもらうのは難しくなります。
継続的なオーダーになれば多少,質が低くても「今回は調子が悪かったのかな」で済みますが,やはり最初の仕事で感動レベルの仕事をしないと,「次もお願いします」とはなかなかなりません。事前の期待値以下は論外。期待値通りですら不十分といえます。
期待値を上回ってはじめて次のオーダーをもらえる
のですから,会社員時代とは比べ物にならない厳しさです。
一人一人がプロ意識を持って仕事をし,プロフェッショナル同士の契約に基づいて事業を進めていくことには大賛成ですが,同時にそれは
非常に厳しい世界での戦いになる
ことは知っておくべきだと思います。
お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>