巷(ちまた)の学校blog

学校等では教わらなかったことを学び,賢い市民生活(家庭,仕事など)を営むためのブログです。ビジネスにも役立つかも。時には,就職や小論文にも言及。

(ちょっと一休み・コロナに隠れた)75歳以上の医療費負担は高齢者のみの問題?(2)明日は我が身か!

【続き】

この問題は,後期高齢者だけの問題のように思われるかもしれませんが,実はそうではありません。その点を指摘します。

*税務の所得額の捕捉の問題については,触れません。

その1

 当然,後者より前者の方の対象者が多いのですが,この「当然」が問題なのです。対象者は,前者は約520万人(上位20%),後者は約200万人(同31%)です(厚労省)。

 この%の分母の数は不明なのですが,170万円と240万円の間に少なくとも320万人がいます。その方々は月14万余円~20万円で暮らしているという現実です。固定費等を考慮すると,その生活はよく言えば「慎ましい」,悪く言えば「貧しい」ものでしょう。

 

その2

 今問題となっている後期高齢者,いわゆる団塊の世代とはどのような方だったか?敗戦後の昭和20年代に生まれ,おそらく物心がついたころの記憶の一つに「空腹」が多くの方にあったことでしょう。学校の教育環境は悪く,最後の集団就職の年代,大学には学生運動の嵐が……。バブル崩壊までの高度経済成長の最後の担い手だった方々です。

 そのような方の医療費を,若い世代の健康保険料の増加を抑制するため,国の財政圧迫を回避するために,年金以外に所得がないと思われる方の医療費負担を1割から2割に変更することに賛成できません。税金を近づく選挙のために補助金・支援金等の名目で給付するよりも,老後の生活における経済的不安を少しでも軽減することこそ,経済が回ることになると考えます。

 

その3

 後期高齢者の医療費負担を2割にすることは,一見,受益者負担として理にかなっているようです。

 しかしながら,年金以外に収入がない後期高齢者の自己負担が重くなることは,医療機関での診療・通院を抑制することになることは明らかです。それは,重病になってから,医療機関を受診することになり,高い医療点数にならざるを得ません。したがって,2割になったとしても,後期高齢者医療制度の拠出金等による支援は,今以上に必要になることはあっても,支援を抑えることにはならないでしょう。そして,「貧しい」後期高齢者は,いっそう貧しくなってしまうのです。

 

その4

 今日(こんにち),このような負担増の話題には事欠かないのが実情です。その理由は,医療保険を含む社会保険制度が,高い経済成長を大前提に構築されたものだからです。その大前提が崩れてから久しいにも拘わらず,「自助」「共助」云々とのたまう方もいらっしゃいますが,時代錯誤も甚だしいとしか言いようがありません。今は,誰かが倒れてしまったら共倒れになる時代です。それこそ,「公助」が必要な時代なのです。

 バブル崩壊後に,どの政治家?も手を付けず,手を拱いて見過ごされてきた『大前提』がこのまま見過ごされてしまっていいものでしょうか。

 ここで話題としているのは後期高齢者の医療費負担増で,その目的は「若い世代の負担を軽減するため」でした。しかしながら,

「若い世代」の方々も,やがては「後期高齢者」になり,

同じ目的のために負担増を求められる

ことになることでしょう。そして,その時の年金額は現在に比べ実質的に目減りしている可能性も。いや,このままでは年金制度自体が崩壊?している可能性も。

 

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>